UFORadiant マニュアル prev index next SonotaCo.com SonotaCo Network
1. 概要
1.1 UFORadiantとは
UFORadiantは流星に関する軌道データ、群データ、群リストを管理する流星情報データベースです。
UFORadiantはデータを準備すれば、他のプログラムと無関係に単独で動作し、流星軌道群の分析や閲覧をすることができます。
UFORadiantには次のような機能があります。
- 指定軌道の類似軌道を各種条件で蓄積データから検索する。
- 複数の軌道の輻射点位置、速度の平均と日々移動量を自動計算する。
- 群データを作成、編集し、その代表軌道を算出する。
- 群データを集めて群リストを作成、編集する。
- 群リストを用いて、次の3つの方法で蓄積軌道データを分類する。
- (1)輻射点位置、速度に基づく分類
- (2)D'判定による分類
- (3)輻射点位置とD'判定を併用した分類
- 軌道の分類結果や各種条件による絞り込み結果をリスト、星図または軌道図上で表示する。
- 外部からの群データ、軌道データを取り込む。
- 絞り込んだ軌道データおよび群データを外部ファイルに出力する。
軌道データ、群データ、群リストはすべてDSID(Data source ID =情報源ID)を含んだ固有のIDを付与して管理されており、DSIDの有効無効を実行時に指定して希望する情報源からの情報のみを参照、編集することができます。
流星情報データ形式そのものは将来リレーショナルデータベースを使用したオンラインシステムで管理すること念頭に、1台のパソコンに数100万件のデータを蓄積可能なように設計されています。UFORadiantはこのデータをリレーショナルデータベースを使用することなく、誰でも簡単に処理出来るようにするためのスタンドアロンプログラムです。
UFORadiantは小規模のプログラムでありながら、処理できるデータ量にプログラム上の制約はありません。実用上の上限は処理時間によって決まります。処理時間が実用限界を超える場合には、軌道ファイルを選択的にロードすることにより、その実行速度を維持できます。ちなみに、Pentium4 3.2GHz 512MBメモリのパソコンで1万件程度の軌道データであれば全く問題はなく、殆どの処理が瞬時に終了します。
1.2 データベースの構成
UFORadinatの流星情報データベース(MDB)は次の3つの主要データとこれを管理するための情報から構成されています。
主要データ
- 軌道データ(Orbit) : 個々の流星の輻射点、軌道要素などの情報
- 群データ(Stream) : 流星群の群としての極大月日、輻射点移動量などの情報
- 群リスト (List) : 複数の群データの集合
管理情報
- DSID : すべての主要オブジェクトのIDに埋め込まれる情報源(Data source)を示すID
- LSlink : List-Stream間の包含関係を示す情報
- SOlink : Stream-Orbit間の関係(群分類)を示す情報
- OFile : 軌道データの格納ファイル情報
これらの情報は論理的には以下の関係を持っており、複数の視点による主要オブジェクト間の関係を保持しつつ、DSIDの指定によって、必要なデータのみ閲覧することができます。
MDBは物理的には1つのディレクトリ(MDBディレクトリ)の下に配置された複数のカンマ区切りテキストファイル(*.CSV)によって構成されています。各ファイルの詳細については 4.1章を参照して下さい。
- MDBディレクトリには6つの固定名称のcsvファイルと1つのorbitサブディレクトリがあります。
- 固定名称csvファイルは各々その名称に対応する情報を格納しています。
- orbitサブディレクトリには複数の軌道情報ファイルが格納されています。個々の軌道情報ファイルの名称は任意です。
- [MDB ディレクトリ]
-
- [orbits サブディレクトリ]
-
- 注意事項
- MDBは以下のタイミングでMDBディレクトリからUFORadiantプログラムに読み込まれ、以降メモリ上のデータを使用して処理されます。
- UFORadiant起動時
- MDB dir ディレクトリ指定変更時
- 軌道ファイルの読み込み指定変更後などのreload実行時
- 外部データのインポート終了時
- MDBは以下のタイミングでディスク上書き込まれます。
- Save Tablesボタン押下時
- 外部データのインポート時など再ロードが必要となる処理の開始時(必要に応じて確認ダイアログが出ます)
- UFORadiantによってデータに変更を加えると Save Tablesボタンが有効になり、その状態で終了しようとすると確認ダイアログが現れます。
- プログラムが異常終了したり、強制中断された場合、あるいは、確認ダイアログを無視してセーブせずに終了した場合には編集データは格納されません。
- 軌道データファイル以外は全て一括して読み込まれます。軌道データファイルは指定されたファイルのみ読み込まれます。
- 個々の軌道データは原則として読み込んだファイルに書き出されます。
- Set UpページのMake typical orbit機能で一括作成された代表軌道データは専用の軌道ファイルが新たに作成されます。
- 平均処理などにより新たに軌道データが作成する場合にはDSIDおよび格納ファイル選択ダイアログが現れます(事前に格納ファイルを作成しておくことが必要です)。
- 1台のパソコンの中に同時に複数のMDBディレクトリを配置し、切り替えて使用することができます。
- 一度に扱えるデータは1つのMDBディレクトリのみです。
- データベースの破損、混乱に備えて、適宜バックアップを取って下さい。
- バックアップはMDBディレクトリごと行ってください。
- 現在のバージョンでは排他制御はされていません。同時に複数のプログラムからアクセスしないで下さい。
- データの閲覧は表計算ソフトなどでも可能です。
- データの操作は表計算ソフトやテキストエディタ等でも可能ですが、一貫性保持が必要で、一般には推奨できません。
- 外部とのデータ交換はUFORadiantのimport,export機能を使用してください。
- 文字列は先頭にアンダースコア '_'を1つ付けて格納されています。これは表計算ソフト等との互換性を維持するためのものです。削除すると動作しなくなります。
- UFORadiantの内部では行の格納順序に依存した処理はありません。データ部分を行単位でソートすることで各テーブルの初期表示順序を変えることができます。またデータ行の削除を行わない限り、ファイルのマージを行うこともできます。
- 一貫性保持のためには、最低限以下の条件があります。この条件は今後増える可能性があります。
- 全てのIDはDSIDテーブルに存在するDSIDに準拠しており、その範囲内にある
- 全てのIDは重複してはいけない。
- link類は無効なものがあってはいけない。
- Streamテーブルの TypicalOID に指定した軌道データは存在しなければならない
1.3 ID管理
MDBにおける主要データのID(LID,SID,OID) は1つのMDBの中で、重複してはいけません。 複数の作業者によって同一のIDが作られることを避けるため、DSIDという情報源固有の番号を元に作られます。 新しいデータを作成する場合には、まず使用するDSIDを定めて下さい。以下の使用上の注意点があります。
- DSIDは1〜42948までの数値です。
- 1つのDSIDから 100000個の主要IDが生成できます(溢れた場合には新たにDSIDを取得してください)。
- DSIDには便宜上以下の種別を設けてあります。
- 1〜999 : 公開群データ情報源
- 1〜29は既定データ用として新規登録を禁止します。
- 1000〜9999 : 公開軌道データ情報源
- 1000〜1099は既定データ用として新規登録を禁止します。
- 10000〜39999 : 観測データ用リザーブ
- 40000〜40999 : プライベート群データ情報源
- 41000〜42948 : プライベート軌道/観測データ情報源
- LID,SID,OID は 全て 1つのDSID 値の 100000倍に同一DSID内 serial 番号(0〜99999)を加えた値を使用します。
- 公開DSID(1〜9999)を使用する場合には、情報を共有するネットワーク上で一意になるように必要に応じて申請、登録手続きを定めて下さい。
- 例えば、新たに軌道情報を公開する場合には、1100〜9999の中の1つの値を使用DSIDとして定め、これを宣言して他の人が同じDSIDを使用しないようにして下さい。
- プライベートDSID(40000〜42948)は実験用などに自由に使用して構いません。
1.4 インストールと必要データの準備
[インストール]
- インストールは特別な処理は必要ありません。
- UFORxxx.zipパッケージを解凍してできるUFORディレクトリを適当なディレクトリに配置して下さい。
- UFORディレクトリが実行ディレクトリとなります。 UFOR.exeを起動すると実行が開始され、ウィンド右上の×ボタンで終了します。
- 実行ディレクトリにはUFORadiantを終了すると操作上の設定を保存する "UFORadiant.ufr"というファイルが作成されます。
- 操作環境を初期化するには "UFORadiant.ufr" を削除して下さい。
- 実行ディレクトリには幾つかのdllファイルと UFOStarMap.txtが格納されています。これらは常に実行ディレクトリに必要です。
- アンインストールも特別な処理は必要ありません。UFORディレクトリごと削除してください。
[必要データの準備]
- UFORxxx.zipには動作に必要なデータは同梱されていません。必要なデータは別途ダウンロードする必要があります。
- SonotaCo Network の UFORadiant V0.01用のデータは以下からダウンロードできます。
- サンプルデータベースの準備
- サンプルデータベースは UFOR_MDBS0.zipとして SonotaCo Network に公開されています。これには以下の情報が格納されています。
- サンプル 群リストおよび群データ (DSID=30、DSIDcode='S'、1リスト、134群)
- SonotaCo Network V0 同時観測データ 2004年〜2006年2月 (DSID=2100, DSIDcode='S0'、7202軌道)
- UFOR_MDBS0.lzhをダウンロードし、これを解凍すると MDB_Sample というディレクトリができます。これを適当なディレクトリに配置して下さい。
- 実行ディレクトリ直下のMDBディレクトリに上書きすることもできます。
- MDBディレクトリは将来的には数100GBまで増える可能性がありますが、移動は簡単なので、当面は数100MBの空き領域のあるボリュームであれば十分です。
- UFORadiantを起動し、Set UpページのMDB dirで配置したMDBディレクトリを指定して下さい。
- 実行ディレクトリ直下にある場合は初期値のまま運用できます。
- インポート用データの準備
- サンプルのインポートデータは UFOR_IMPORT.zip として SonotaCo Network に公開されています。 本マニュアルでの操作説明に使用していますので、ダウンロードして解凍しておくことを推奨します。
- このインポートデータを使用すると サンプルデータベースを再構築することができます。
- この他にインタネット上には各種の有用な軌道データが公開されています。3.3章を参照して、適宜ダウンロードしてインポートして下さい。